ニコチンアミドリボシド
8つの効果・効能と副作用 Nr
ニコチンアミドリボシド(NR)とは、細胞内でNAD+になる栄養素で、ビタミンB3に分類されています。ミルクやビール酵母に少量含まれています。
体内のエネルギー代謝からDNAの修復にいたるまでさまざまなところで必要とされるNAD+は老化とともに減少し、不足してきます。
NAD+自体を補給しても吸収されにくいので、その前駆体となるニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)やニコチンアミドリボシド(NR)が近年さかんに研究されています。
中年と高齢者を対象とした臨床試験も行われていて、ニコチンアミドリボシドの摂取量が増えるほどNAD+も増加する(1日300mgと1日1000mgとの間にはそこまでの違いはない)ということがわかっています(参考)。
また、寿命延長に関わるサーチュイン遺伝子を活性化するとも言われています(参考)。
同じビタミンB3に分類されているのですが、
栄養ドリンクに良く入っているナイアシン(ニコチンアミド)は、逆に、サーチュイン遺伝子(SIRT1)を抑制してしまいます(参考)。
ニコチンアミドリボシドの効果と副作用を世界の大学や研究機関の論文からエビデンスベースで紹介します。
1)ニコチンアミドリボシドは脳に良い。
エビデンス高ADモデルマウスにおいて、NR(ニコチンアミドリボシド)投与は、PGC-1α媒介性のBACE1ユビキチン化および分解を促進し、脳におけるアミロイドβ産生を防止することにより、アルツハイマー病の進行を3ヶ月間遅らせた。(参照論文 1)
DNA修復欠損を有する新しいADマウスモデルにおいて、NAD+補充が主要なアルツハイマー病特徴およびDNA損傷応答を正常化する(参照論文 2)
失調性毛細血管拡張症モデルマウスにおいて、細胞内のNAD+補充治療は、ニューロンDNA修復を刺激してミトコンドリアの質を改善するメカニズムにより、T神経病理の重症度を軽減し、記憶機能と神経機能を正常化し、寿命を延ばす。(参照論文 3)
NAD+前駆体ニコチンアミドリボシドは、iPSCおよびパーキンソン病のフライモデルにおけるミトコンドリアの欠陥およびニューロンの損失を救済する。(参照論文 4)
2)ニコチンアミドリボシドは老化を防ぐ。
ニコチンアミドリボシドで6週間処置した老齢マウス(24ヶ月齢)は、対照マウスよりも平均して5%長く生存した。(参照論文 5)
ニコチンアミドリボシドはNAD+レベルを上げ、サーチュイン遺伝子(SIRT1、SIRT3)を活性化させる。(参照論文 6)
3)ニコチンアミドリボシドはがんを予防する。
NR(ニコチンアミドリボシド)は、高レベルの酸化ストレスを有するマウスにおいて肝臓がん腫瘍成長を制限できる可能性がある。(参照論文 7)
老化に伴う疾患やがんはNAD+減少に関連し、NAD+ブースター(NRやNMNなど)は、老化関連疾患を改善する可能性がある。(参照論文 8)
4)ニコチンアミドリボシドは糖尿病を防ぐ。
2型糖尿病マウスにおいて、NRは血糖値を大幅に低下させ、糖尿病性神経障害から保護する。(参照論文 9)
2型糖尿病のモデルマウスにおいて、経口ブドウ糖負荷試験および血清インスリンおよびアディポネクチンのレベルについて、ニコチンアミドリボシド補給により耐糖能が改善された。NRは肝臓中の総コレステロール濃度を低下させた。(参照論文 10)
5)ニコチンアミドリボシドは耳に良い。
NAD+前駆体ニコチンアミドリボシドはSIRT3を活性化し、マウスを騒音誘発聴力損失から保護する。(参照論文 11)
ニコチンアミドリボシドによる聴覚保護は、Sirt3の活性化による。(参照論文 12)
6)ニコチンアミドリボシドは肝臓を保護する。
高齢者の非アルコール性脂肪肝疾患が、NAD+前駆体であるニコチンアミドリボシドの経口投与によって改善された。高齢によるNAD+欠乏がNAFLDの重大な危険因子であることが示された。(参照論文 13)
7)ニコチンアミドリボシドは筋肉にいい。
低筋肉モデルマウスにおいて、NAD前駆体ニコチンアミドリボシドの投与は、筋肉内NAD量に対して穏やかな効果しか有さないにもかかわらず、機能的欠損を急速に改善し、筋肉量を回復させた。(参照論文 14)
ミトコンドリアミオパシー(筋肉が衰弱する)マウスにNRを投与することにより、骨格筋および褐色脂肪組織におけるミトコンドリア生合成が強く誘導され、ミトコンドリア異常およびmtDNA欠失形成が阻害され、早期および後期の疾患の進行を効果的に遅延させた。(参照論文 15)
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- 参照論文1 : Nicotinamide riboside restores cognition through an upregulation of proliferator-activated receptor-γ coactivator 1α regulated β-secretase 1 degradation and mitochondrial gene expression in Alzheimer's mouse models. (2013年)
- 参照論文2 : NAD+ supplementation normalizes key Alzheimer’s features and DNA damage responses in a new AD mouse model with introduced DNA repair deficiency (2018年)
- 参照論文3 : NAD+ replenishment improves lifespan and healthspan in Ataxia telangiectasia models via mitophagy and DNA repair (2016年)
- 参照論文4 : The NAD+ Precursor Nicotinamide Riboside Rescues Mitochondrial Defects and Neuronal Loss in iPSC and Fly Models of Parkinson's Disease. (2018年)
- 参照論文5 : NAD+ repletion improves mitochondrial and stem cell function and enhances life span in mice. (2016年)
- 参照論文6 : The NAD+ precursor nicotinamide riboside enhances oxidative metabolism and protects against high-fat diet induced obesity (2012年)
- 参照論文7 : Boosting NAD+ for the prevention and treatment of liver cancer (2015年)
- 参照論文8 : NAD+ Deficits in Age-Related Diseases and Cancer. (2017年)
- 参照論文9 : Nicotinamide Riboside Opposes Type 2 Diabetes and Neuropathy in Mice (2016年)
- 参照論文10 : Nicotinamide Riboside Ameliorates Hepatic Metaflammation by Modulating NLRP3 Inflammasome in a Rodent Model of Type 2 Diabetes. (2015年)
- 参照論文11 : Activation of SIRT3 by the NAD+ precursor nicotinamide riboside protects from noise-induced hearing loss. (2014年)
- 参照論文12 : Boosting NAD to spare hearing. (2014年)
- 参照論文13 : Hepatic NAD(+) deficiency as a therapeutic target for non-alcoholic fatty liver disease in ageing. (2016年)
- 参照論文14 : Loss of NAD Homeostasis Leads to Progressive and Reversible Degeneration of Skeletal Muscle. (2016年)
- 参照論文15 : Effective treatment of mitochondrial myopathy by nicotinamide riboside, a vitamin B3. (2014年)
- 参照論文16 : The NAD+ precursor nicotinamide riboside enhances oxidative metabolism and protects against high-fat diet induced obesity (2012年)
- 参照論文17 : The NAD(+) precursor nicotinamide riboside decreases exercise performance in rats. (2016年)