NMN 8つの効果・効能と副作用 Nmn
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド、NMN)は、細胞内でNAD+になる栄養素で、ビタミンB3に分類されていますが、一般的なビタミンの効能を超えて、老化防止や若返りのサプリとして話題になっています。
NMNを含む食品は、枝豆、ブロッコリー、キュウリ、キャベツ、アボカド、トマトなどで、ほんとうに少量(0.25-1.88mg/100g)だけ含まれています。生の牛肉とエビといった食材にも0.06-0.42mg/100gとごくわずかに含まれています。
NAD+は体内のエネルギー代謝からDNAの修復にいたるまでさまざまなところで必要とされていますが、老化とともに減少し、不足してきます。NAD+は吸収されにくいため、NMN(体内でNAD+になる)やNR(体内でNMNになる)で補充してやることでNAD+を若い人と同等のレベルまで上げることができます。
NAD+は寿命延長に関わるサーチュイン遺伝子を活性化するとも言われています。
同じビタミンB3に分類されているのですが、栄養ドリンクに良く入っているナイアシン(ニコチンアミド)は、逆に、サーチュイン遺伝子(SIRT1)を抑制してしまうとも言われています。
高価なサプリでしたが最近は安価に作成するための研究論文もでていたり、米国では比較的安いNMNのサプリメントがFDAに認可されています。日本においては手に入りにくい(または異常に高かったり、内容量の記述がない)サプリ成分です。
NMNの効果と副作用を世界の大学や研究機関の論文からエビデンスベースで紹介します。
1)NMNは老化を防ぐ。
エビデンス高長期間のニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の投与は、マウスの加齢に伴う生理学的低下を緩和する。NMNは加齢関連体重増加、エネルギー代謝の増強、身体活動の促進、インスリン感受性および血漿脂質プロファイルの改善、および眼機能および他の病態生理の改善をし、重要な代謝臓器における年齢関連遺伝子発現の変化および骨格筋におけるミトコンドリア酸化代謝および核内タンパク質の不均衡を改善した。NMNの多くの効果は、ヒトにおける効果的な老化防止介入としての予防的および治療的可能性を示している。(参照論文 1)
2)NMNは糖尿病を防ぐ。
ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は、高脂肪食(HFD)により2型糖尿病を発症したマウスのNAD+レベルを回復させ、グルコース不耐性を改善する。 NMNはまた、肝臓のインスリン感受性を高め、酸化ストレス、炎症応答、および概日リズムに関連する遺伝子発現を部分的にSIRT1活性化によって回復させる。さらにNMNは、老化により2型糖尿病を発症したマウスにおけるグルコース不耐性および脂質プロファイルを改善する。(参照論文 2)
ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は、炎症性サイトカイン媒介性インスリン分泌障害のマウスにおいて、膵島機能障害を予防する。(参照論文 3)
3)NMNは脳に良い。
マウスにおける長期間のニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)および関連する機構の潜在的なアルツハイマー病治療効果を確かめる試験において、NMNが、対照マウスと比較して認知障害の行動尺度において実質的な改善を生じさせることを見出した。NMN処置は、トランスジェニック動物におけるβ-アミロイド産生、アミロイド斑負荷、シナプス喪失および炎症反応を有意に減少させた。(参照論文 4)
虚血後5時間でtPAを注入したマウスでは、死亡率、脳梗塞、脳浮腫、脳ヘモグロビンレベル、神経アポトーシス、Iba-1染色(ミクログリア活性化)およびミエロペルオキシダーゼ染色(好中球浸潤)の有意な増加がある。これらのtPA誘発性変化はすべて、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)投与によって有意に防止された。NMNは、脳虚血におけるtPA誘発性出血性形質転換を改善する。(参照論文 5)
ミトコンドリア機能障害はアルツハイマー病を含む神経変性疾患の特徴であるが、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)をモデルマウスに投与したところ、ミトコンドリア呼吸機能が回復した。(参照論文 6)
ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)がアルツハイマー病モデルラットにおいて認知を回復できることを示している。NMNの有益な効果は、ニューロンの生存を改善し、エネルギー代謝を改善し、ROS蓄積を減少させることによってもたらされる。(参照論文 7)
4)NMNは目に良い。
長期間のニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)投与は、老齢マウスにおける眼の機能、骨密度、および骨髄性リンパ様組成を有意に改善する。NMN投与はまた、好中球の数を有意に減少させた。NMNが様々な年齢関連の病態生理学的変化に対して有意な抗老化効果をもたらすという我々の考えを結果が支持している。(参照論文 8)
5)NMNは心臓に良い。
フリードライヒ運動失調症の心筋症マウスモデルにおいて、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は、ミトコンドリアデアセチラーゼSIRT3を活性化し、SIRT3依存的に心臓エネルギーの生成および利用を改善する。NMNは心臓の拡張機能を改善し、収縮機能をSIRT3依存的に正常化する。(参照論文 9)
ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の短期投与は、心筋ミトコンドリア恒常性を維持し、心不全を予防する。ミトコンドリアタンパク質の高アセチル化が心臓病の病因において重要であり、NMNの投与が有望な治療として役立つ可能性がある(参照論文 10)
ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は、IPCを模倣し、Sirt1を活性化することによって、虚血および再灌流から心臓を保護する。(参照論文 11)
6)NMNは血管と血圧を改善する。
ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の補充は、若年マウスにおいて有意な効果をなさなかったが、老齢のマウスにおいては、大動脈SIRT1活性を回復させ、I型動脈コラーゲンを若いマウスのレベルに減少させ、エラスチンを若いマウスと有意に異ならないレベルまで増加させた。NMNはマウスの老化による血管機能不全および酸化的ストレスを逆転させる。(参照論文 12)
8)NMNは肥満を改善する。
高脂肪食により肥満になったマウスにおいて運動群とNMN摂取群を比較した研究で、長期間のニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)も運動も同様に体重の有意な変化は観察されなかったが、NMNによって筋肉と肝臓NAD+レベルが増加し、ミトコンドリアが活性化され、筋肉および肝臓における脂肪細胞、耐糖能、血漿インスリン、NADHレベルおよびクエン酸シンターゼ活性が有意に改善された。(参照論文 14)
ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)投与マウスは、明るい時間および暗い時間の両方において、呼吸指数が有意に減少し、主なエネルギー源をグルコースから脂肪酸に切り替えていることが示唆された。また、エネルギー代謝の加齢に伴う障害に対して、NMNが有意な予防効果を有することを強く示唆している。NMN投与マウスは、用量依存的に加齢による体重増加を抑制する。(参照論文 15)
母体肥満による代謝機能障害のモデルマウスにおいて、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)を補給(注射)することで、肝臓中のNAD +濃度を増加させ、ミトコンドリア機能および生物発生を増加させ、サーチュイン活性を刺激し、肝臓の脂肪代謝を改善した。体重の低下に関して、18日間のNMN補充は9週間の運動と同等の効果があった。(参照論文 16)
注意NMNの副作用
NMN合成酵素NAMPTの阻害剤は、NAD+を低下させるにもかかわらず、損傷した軸索およびシナプスの堅牢な形態学的および機能的保護を与える。長期間のニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は、末梢神経障害の軸索変性を悪化させる危険性を持っている可能性がある。(参照論文 17)
(軸索変性を促進するという副作用論文に反論して)、ゼブラフィッシュおよびマウスにおける長期間のニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)のトランスジェニック発現が、NMNレベルをNaMNに変換することによって減少させ、軸索変性に対して保護することを実証している。(参照論文 18)
- 参照論文1 : Long-Term Administration of Nicotinamide Mononucleotide Mitigates Age-Associated Physiological Decline in Mice (2016年)
- 参照論文2 : Nicotinamide mononucleotide, a key NAD(+) intermediate, treats the pathophysiology of diet- and age-induced diabetes in mice. (2011年)
- 参照論文3 : Nicotinamide mononucleotide protects against pro-inflammatory cytokine-mediated impairment of mouse islet function. (2011年)
- 参照論文4 : Nicotinamide mononucleotide inhibits JNK activation to reverse Alzheimer disease. (2017年)
- 参照論文5 : NAD replenishment with nicotinamide mononucleotide protects blood-brain barrier integrity and attenuates delayed tissue plasminogen activator-induced haemorrhagic transformation after cerebral ischaemia. (2017年)
- 参照論文6 : Effect of nicotinamide mononucleotide on brain mitochondrial respiratory deficits in an Alzheimer’s disease-relevant murine model (2015年)
- 参照論文7 : Nicotinamide mononucleotide protects against β-amyloid oligomer-induced cognitive impairment and neuronal death. (2016年)
- 参照論文8 : Long-term administration of nicotinamide mononucleotide mitigates age-associated physiological decline in mice (2016年)
- 参照論文9 : Nicotinamide mononucleotide requires SIRT3 to improve cardiac function and bioenergetics in a Friedreich's ataxia cardiomyopathy model. (2017年)
- 参照論文10 : Short-term administration of Nicotinamide Mononucleotide preserves cardiac mitochondrial homeostasis and prevents heart failure. (2017年)
- 参照論文11 : Nicotinamide Mononucleotide, an Intermediate of NAD+ Synthesis, Protects the Heart from Ischemia and Reperfusion (2014年)
- 参照論文12 : Nicotinamide mononucleotide supplementation reverses vascular dysfunction and oxidative stress with aging in mice (2016年)
- 参照論文13 : Long-term administration of nicotinamide mononucleotide mitigates age-associated physiological decline in mice (2016年)
- 参照論文14 : Head to Head Comparison of Short-Term Treatment with the NAD(+) Precursor Nicotinamide Mononucleotide (NMN) and 6 Weeks of Exercise in Obese Female Mice. (2016年)
- 参照論文15 : Long-term administration of nicotinamide mononucleotide mitigates age-associated physiological decline in mice (2016年)
- 参照論文16 : Nicotinamide mononucleotide (NMN) supplementation ameliorates the impact of maternal obesity in mice: comparison with exercise (2017年)
- 参照論文17 : A rise in NAD precursor nicotinamide mononucleotide (NMN) after injury promotes axon degeneration. (2015年)
- 参照論文18 : Axon Degeneration: Too Much NMN Is Actually Bad? (2017年)