葉酸 9つの効果・効能と副作用 Folate


葉酸はビタミンB9とも呼ばれ、ビタミンB群のひとつです。

食品としては、えだまめやほうれん草などの野菜や、レバーやウニなどに多く含まれています(参考)。

他のビタミンB群と同じく細胞の代謝に必要で、炭水化物をエネルギーに変える役割を持っていますが、とくに葉酸は急速な成長中の赤ちゃんや子どもにとって大事なDNAの生合成を助ける働きがあります。

日本人に多いとされるMTHFR遺伝的変異を持つ人はより多くの葉酸を必要とします(参考)。

葉酸の効果副作用を世界の大学や研究機関の論文からエビデンスベースで紹介します。

研究論文紹介・目次

1)葉酸は妊活と妊娠に必須。
2)葉酸は老化を防ぐ。
3)葉酸は抗酸化作用を持つ。
4)葉酸は脳に良い。
5)葉酸は耳に良い。
6)葉酸は心臓に良い。
7)葉酸は肝臓を保護する。
8)葉酸は髪に良い。
9)葉酸は生殖機能を改善する。
葉酸の副作用
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葉酸 効果

 

1)葉酸は妊活と妊娠に必須。

エビデンス高

妊娠初期および妊娠中に葉酸を適切に摂取することで、胎児の神経管欠損(NTD)のリスクをかなり減少させることが示されている。米国の公衆衛生局は、妊娠可能な女性はNTD予防のために毎日400μgの葉酸を摂取することを推奨している。(参照論文 1)

妊娠初期の葉酸とマルチビタミンの経口補充は、先天性異常(髄膜瘤、口唇裂、先天性心不全、四肢欠損、尿路異常、水頭症)の発症率を低下させる。 (参照論文 2)

妊娠中に葉酸を補給することは、平均出生体重をわずかに増加させ、早産率を4.8%低下させる。(参照論文 3)


 

2)葉酸は老化を防ぐ

低用量の葉酸補給は線虫(Caenorhabditis elegans)の酸化ストレス耐性と寿命を増加させる。(参照論文 4)


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3)葉酸は抗酸化作用を持つ

ラットにおいて葉酸の補充は、ヒ素による酸化ストレスを抑制し、抗酸化酵素を増加させ、DNAとミトコンドリアの損傷を軽減する。(参照論文 5)

葉酸はフリーラジカルを効率的に除去する。葉酸が水にかなり可溶性であるにもかかわらず、ミクロソームの脂質過酸化も有意に阻害する。(参照論文 6)


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4)葉酸は脳に良い

151人が参加した2件の研究では、他の治療法に加えて葉酸を摂取することでうつ病が緩和する可能性があることを示唆している。ただし葉酸レベルが正常な人と葉酸欠乏症の人の両方に当てはまるかどうかは現在のところ不明である。(参照論文 7)

うつ病または統合失調症を有する123人の患者のうち41人(33%)が境界性または明確な葉酸欠乏症であり、標準的な向精神薬治療に加えて、葉酸塩(メチルフォレート)の摂取を6ヶ月間試験した。うつ病患者および統合失調症患者の両方において、メチルフォレートは臨床的および社会的回復を有意に改善した。(参照論文 8)

軽度の認知障害を有する65歳以上の180人の個人を対象とした試験において、従来の治療を行ったグループに対し、葉酸(400μg/日)を摂取したグループは、IQスコア、短期記憶および運動能力が有意に改善された。(参照論文 9)

出生前の葉酸摂取を調べた統計において、母親が葉酸を摂取した子どもでは、自閉症の割合が0.10%(64 / 61,042)であり、母親が葉酸を摂取していない場合は0.21%(50 / 24,134)であった。因果関係は不明であるが、自閉症との関連は認められた。(参照論文 10)


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5)葉酸は耳に良い

60歳以上の男性は、葉酸の摂取量の増加により、加齢性難聴発症のリスクが低下する可能性がある。(参照論文 11)

葉酸欠乏症は、蝸牛の酸化ストレスおよびホモシステイン代謝の障害を含むメカニズムを介して早発性難聴を引き起こす。(参照論文 12)


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6)葉酸は心臓に良い。

葉酸の摂取により、ホモシステインのレベルが低下し、血管内皮機能が改善され、心血管疾患のリスクが潜在的に低下する可能性がある。(参照論文 13)


 

7)葉酸は肝臓を保護する。

アルコール摂取量の増加は葉酸の吸収低下につながるが、葉酸摂取は肝臓に対するアルコールの有害な影響を相殺する可能性がある。(参照論文 14)


 

8)葉酸は髪に良い。

若年性白髪のインド人患者の研究によれば、白髪はビタミンB12・葉酸・ビオチンの3者の欠乏との間に有意な関連性がある。葉酸単独で髪の健康を助けるかどうかは追加の対照試験が必要である。(参照論文 15)


 

9)葉酸は生殖機能を改善する。

不妊治療中の女性において、葉酸摂取によって、卵胞液の葉酸濃度が上昇し、受精率や卵子の質が向上した。(参照論文 16)

葉酸の補給は、卵胞液および血清の両方におけるホモシステインの濃度を減少させる。低ホモシステイン濃度にある卵母細胞は、より良い品質とより高い成熟度を示した。(参照論文 17)

不妊の男性において、葉酸と亜鉛の補給により、正常な精子の数が74%増加し、異常な精子の数は4%増加にとどまった。(参照論文 18)


 

注意葉酸の副作用

葉酸欠乏状態は癌および心血管疾患の危険因子であるが、心血管疾患やがんのリスクが高い個人に対する高用量の葉酸摂取は逆にがんの進行を促進したり有害な可能性があることが示唆されている。(参照論文 19)

非盲検非対照試験において、1ヵ月間15mg/日の葉酸塩の経口投与量は、精神的混乱、睡眠障害、および胃腸障害と関連しているとする報告もある。(参照論文 20)

高用量の葉酸は、ビタミンB12欠乏症によって引き起こされる貧血の診断にマスキング効果を及ぼし、悪性貧血が潜在化する危険性がある。(参照論文 21)

体内において、葉酸からその活性型への変換は遅いプロセス(特にMTHFR遺伝子変異を有する人は)であるため、過剰摂取した場合、遊離葉酸が血液中に蓄積する可能性がある。これは免疫力の低下を引き起こす。(参照論文 22)


 

出典 References

参照論文1 : Optimal serum and red blood cell folate concentrations in women of reproductive age for prevention of neural tube defects: World Health Organization guidelines. (2015年)
参照論文2 : Pre-conceptional vitamin/folic acid supplementation 2007: the use of folic acid in combination with a multivitamin supplement for the prevention of neural tube defects and other congenital anomalies. (2007年)
参照論文3 : Possible association of folic acid supplementation during pregnancy with reduction of preterm birth: a population-based study. (2010年)
参照論文4 : Folic acid supplementation at lower doses increases oxidative stress resistance and longevity in Caenorhabditis elegans (2015年)
参照論文5 : Folic acid or combination of folic acid and vitamin B(12) prevents short-term arsenic trioxide-induced systemic and mitochondrial dysfunction and DNA damage. (2009年)
参照論文6 : Free radical scavenging behavior of folic acid: evidence for possible antioxidant activity. (2001年)
参照論文7 : Folate for depressive disorders. (2003年)
参照論文8 : Enhancement of recovery from psychiatric illness by methylfolate. (1990年)
参照論文9 : Effects of 6-Month Folic Acid Supplementation on Cognitive Function and Blood Biomarkers in Mild Cognitive Impairment: A Randomized Controlled Trial in China. (2016年)
参照論文10 : Association between maternal use of folic acid supplements and risk of autism spectrum disorders in children. (2013年)
参照論文11 : A prospective study of vitamin intake and the risk of hearing loss in men (2010年)
参照論文12 : Folic acid deficiency induces premature hearing loss through mechanisms involving cochlear oxidative stress and impairment of homocysteine metabolism. (2015年)
参照論文13 : Folic acid improves vascular reactivity in humans: a meta-analysis of randomized controlled trials (2007年)
参照論文14 : Alcohol consumption, folate intake, hepatocellular carcinoma and liver disease mortality (2013年)
参照論文15 : Prospective Analytical Controlled Study Evaluating Serum Biotin, Vitamin B12, and Folic Acid in Patients with Premature Canities. (2017年)
参照論文16 : IVF outcomes are associated with biomarkers of the homocysteine pathway in monofollicular fluid. (2009年)
参照論文17 : Effect of homocysteine concentration in follicular fluid on a degree of oocyte maturity (2003年)
参照論文18 : Effects of folic acid and zinc sulfate on male factor subfertility: a double-blind, randomized, placebo-controlled trial. (2002年)
参照論文19 : Too much folate - a risk factor for cancer and cardiovascular disease? (2009年)
参照論文20 : Dietary Reference Intakes for Thiamin, Riboflavin, Niacin, Vitamin B6, Folate, Vitamin B12, Pantothenic Acid, Biotin, and Choline. (1998年)
参照論文21 : Does folic acid harm people with vitamin B12 deficiency? (1995年)
参照論文22 : Unmetabolized folic acid in plasma is associated with reduced natural killer cell cytotoxicity among postmenopausal women. (2006年)

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